Ha-Buah バブル (イスラエル・仏) 2006
Eytan Fox 1h57 ★★★
注意: 途中にある横線から下は完全にネタばれしています。
タイトルをいい、友達を誘った。内容を聞かれ、「イスラエル映画でね、若モンの友情と恋愛と、あ、そこにパレスチナと、同性愛と・・・」 と、薦められたままを伝えた。「イスラエル映画で」 のくだりで既に相槌の 「んー・・・ 」 の声が落ち、でもまあ話を聞こうかというトーンだったのに、「パレスチナ」 といいかけてるとき、「あー、いいや」 と断られてしもうた。思うことが似てるのかもしれん。
全てとは言わないが、イスラエル映画というと 「何かどこかに共通のものが」 というイメージ。背景に持ってくるか主に持ってくるかの違いはある。「おや、またかいなー」 となってしまいそうな決まった題材。8月15日が近づく頃のお茶の間に流れるドラマのようだ。あれは蚊取り線香のくゆるそばで 「もうちっと違う角度のものを見たいなぁ」 などと思ってはいけないんじゃないかというぐらい、タイトルは違えど毎回基本は同じ。そういやそろそろ季節だね。
その、政治宗教歴史・軍・紛争無しに描くことはできないんだろうか。
今まで見たものの多くは、他のことを描いていてもやっぱりさらりと入れてくる。それがイスラエルじゃ茶飯事で、彼らにとっては 「日常」 なんだろうとは想像できる。でも海外ではともかく、イスラエル国内向けでそればっかりってわけにもいかないと思うんで、ただのドタバタコメディーとかもあるんじゃないかなと、んでそういうのを見てみたいなあと思ってたわけで。
一般的に、確かに外へ出やすい作品は 「外国人が期待するイメージ」 で買われてる部分もあるかと。こうあって欲しいとか、こうに違いないとか。それを後押しする映像を出してくれると 「おおー!」 となるっていう。「実際は知らんけどそれっぽい」 っていう、FBI 物やスプラッタ物なんかの、フィクションの中のリアリティー描写への期待とそれを見る喜びに似てるかもしれん。
で。そういう要素全くなし、または隠し味以下にまで抑えたのをもっと見てみたい。これは配給さんへのお願いになるんかな。わさび抜きのお寿司でも、美味しいものは美味しいんよ。パンチが欲しくなることもあるけど、ネタが良ければそのままで十分。もちろん個人の好みにもよるかと。それとおんなじだと思うんよね。
んで作品。お約束がテンコ盛り。初っ端から検問。出たー!軍人。出たー!女性兵士。出たー!境界の壁。出たー!見てる者に訴える和平メッセージ。出たー!次から次へとオンパレード。無垢な子供を使った話ではなく、ロミオとジュリエット系。食傷気味。パレスチナの義理の兄弟には笑った。見た目だけじゃなく、Jihad って、名前からしてコッテコテー。その取り巻きのいつも迷彩服の二人組みもね。
しかし通常の描写がとても軽快。それが息抜きになる。この作品のコメディーパートには大満足。とても良質で、やりとりには大いに笑ったし楽しんだ。お気に入りは Lulu ちゃん。かわいいー。ああいう女の子好きなんよ!フランス人に見えるでしょって乗り込んで行くところ。パーティーには来なさいよって電話でのところ。あと隣室から響く夜の声を真似ながら、ベッドに寝転ぶ Noam に重なっていって、抱き合い一緒に笑い転げてるところ。そんな二人の関係の描写が最高。それにしても声すごいやねー。笑いでお腹が震えた。翌日のからかいっぷりもツボ。Yali の、男前の彼もいい味を出してる。バーでの天然は笑えなかったけど、病院での空気の読めなさっぷりは素敵だった。あのカップルいいね。ほのぼのするよ。
ベッド。女の子 Lulu ちゃんから男の子 Noam へと、二つの場面がさりげなく切り替わる。このとき Lulu ちゃん、嬉しくってたまらないって顔をしてる。これがいいんだな。あとで分かるけど Noam も同様。相手の顔は股間。でも不思議なことにエロさより、とにかく幸せそうで見てるこっちがほわんとなってくる。でね、かわいいなあなんて思いながら見てると気づくんよ、足の毛に。「お姉ちゃんこりゃまた大胆な!」 と突っ込みたくなるぐらい、女の子にしちゃ目立つもんが。カメラは上半身へと移動、お腹にかけても立派に。ええええー!さっきこんなだったっけ?!見てるこっちは焦る焦る。それから気づいた。いい演出だ。驚いた自分に笑った。あと他に、Noam の背に浮かぶ汗。狙ってるなあ。とても綺麗ではあるんだけどね。
他では無理そうなビックリ展開を凡人に平然と持ってきて、でも 「この国ならこういうこともありそう」 という、観客の先入観をうまく利用した説得力で要所を締めるのも、イスラエル映画にある特徴のように思う。
ラスト近くの、画面が白くなりながら動きがゆっくりになってカメラアングルが変わるところ。綺麗だ。「うおー思いっきり狙っとる」 と演出の露骨さに沈む反面、いまだに頭から離れないよ。
そもそもこの作品、元になったのは監督さんも関わった 『Florentine』 というテレビドラマだとか。1997 年から2000 年にかけて放映された全3シーズン39話だそうで、『バブル』 のプロデューサー&シナリオの人もシナリオで参加。これ見たいなぁ。
撮影では Ashraf の父親役探しに苦労したそうだ。ゲイの息子のいる父親を演じるというのが、ある程度の年のいったアラブ男性にはひっかかるらしい。決まっても、台本読みの段階で降板されるというのが3回はあったようだ。あと当初の原題は 「Romeo and Julio」 だったらしい。うおおおお、いかんぜよ!変えた理由は 「響きがアダルトビデオのようだから」。
よく利用するサイト Allocine に 「イスラエル版 『フレンズ』」 と一言あって、こりゃまたうまい表現だなと舌をぐるぐる巻いた。友達にもこういう風にいうべきであった。
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画面が白くなってくところでグッとなっているのに、続く、ニュースに重なる描写でショボンとしてしまった。並んでる。原因+周囲の状態でも、あれほど綺麗に並べられるんかいな。モヨ彦的にはちょっと美化だなあ。大事なところに持ってこられたんで少し気がぬけちゃった。
でもあれ、作中のレイブパーティーのポスターを思い起こさせる。
一列に寝転んだポスターでは、パレスチナの彼だけ逆方向。イスラエルの彼とは隣同士でつながってはいるんだけど、位置が頭と足で、ちぐはぐになってんの。地はつながっててもまるでかみ合わない国・地域みたい。裸で他の人に混じって同じように並んでも一緒じゃない。違っても仲良くしましょうって目的のポスターのせいもあるんだろうけど、同等のようで確実に別扱い。それが終わりでは二人同じ方向に並んでいるように見えた。ポスターと違いくっついてはいない。そして劇中劇の二人のようでもある。触れ合えなくても一緒だって。それを表現したくて並べて撮ったシーンなのかもね。
そういや洋服を着たバージョンの宣伝ポスターもね、Ashraf だけ顔の向きが別なんだよ。作中のシーンから主要4人を個別に抜き出して並べたもので、左三人のイスラエル組は顔が右方向、右端の Ashraf だけ左方向なの。服着たバージョンもこの辺を計算して作ったのならすごいよ、絶賛ものだ。
んで。ラストまでの流れが気になる。あのとき Ashraf はどう考えてたのかなと。
自称リポーター達の訪問後、追い詰められ、パレスチナでの居場所を失うことになる。これ、信仰の違いで追い出された人達の集まりのパレスチナで、嗜好や考え方の違いから威圧で行き場を失うっちゅー皮肉かね。で、死をただ悲しみたいだけなのに、それがかなわない。他の人が行ったら、関係ない人を大勢巻き込むのは目に見えている。友人達を巻き込むかもしれない。繰り返される犯人探しで、パレスチナ側にも新たに犠牲者が出るかもしれない。自分だったらそれを避けることはできる。そして最後にさよならをいいに行った。と、思ったんだけど。
直後のニュースで 「急に方向を変えた」 といってたので、あるいは妹の一件で、眠っていた、イスラエル人に対し心に渦巻くものが目覚めてしまい葛藤の末、ケリは自分でつけるべきかもと繁華街へ。しきたりなどからの抑圧と自暴自棄もプラス。そうしたら現場に予想外に彼がいた。巻き込みたくない。動揺し Noam にだけ何とかそっと状況を知らせたが、鈍い彼に予定変更せざるをえなくなった。またはその様子を見て理性が戻り、人のいない場所へ向かった。
こっちかなぁ。さよなら説しかなかったときも約束無しに彼のいる場所にたどりつけるのは、いくつか行き先の候補があるとはいえ、ちょっとご都合主義っぽいなと感じたんよ。あと思えば、単なるさよならならひっそり見るだけだって良さそうだ。
あれはやっぱり一緒に来て欲しかったのかなあ。そうではなく、最後に一目と思って(仮定) 振り返った。そうしたら思ったよりずっとそばにいて驚いたのかもしれない。来てくれて嬉しいと思ったのか、何で来たんだと思ったのか、巻き込んですまないと思ったのか。
と、いいつつ。監督さんは、自称レポーターが Ashraf の実家に来たときの、自室を案内してるシーンとダブらせてる気がする。近寄る Noam から露骨に逃げ、「何やってんだ何で来たんだ、狂ってる殺されたいのか、死にたいのかお前!」 と訪問を怒り、責める場面。でも本心は嬉しくて、少し置いてからクルッと向きを変え近づくシーン。テルアビブ市内のは、事の重大性をあまり気にせず近づく Noam といい、まんまそれの再現に見える。
まー、気になること。大事な部分なのによく分かってないという。見方が甘いのか、いく通りかに解釈できるように作ったのか。二番目説で深読みが当たってるんなら星4つ。でも現段階ではいまいち自信がない。
いろいろ頭から離れなくなっちゃって、監督さんと過去作品を調べてみた。そうしたら、やー、すごいねこの人、たまげた。『Walk on water』『Yossi & Jagger』『After (別名 Time off)』 と粗筋を読んでみたんだけど、毎回飽きずに王道を歩んどる。『Walk on water』 はタイトルやポスターにどことなく覚えがある。でも 「どことなく」ってこと以外、うーん思い出せんよ。イライライライラ・・・ んで。これは一作目 『After』 から 『バブル』 まで、粗筋未読の作品も含め同様とみていいんだろうか。こんだけ、いわゆるイスラエル黄金ネタ (+ホモセクシャル)を毎度つめて、見てるほうは飽きないのかなあ。ここまで貫かれると余計気になっちゃう。モヨ彦、8月15日系はオーバードーズ。
時代劇好きなんよね。葵の紋所が出てくると嬉しいじゃない。過剰摂取か黄門様か、自分で確認してみるよ。
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