■FED-6TTL
幻に消えたFEDシリーズ最終機






 FED-6TTLは、1990年開発に着手。1992年試作機が完成し、世に送り出されるはずであった。しかし、1991年ソビエト連邦崩壊に伴い、市場の状況は一変。世に送り出されることはなかった。しかし、出回らないはずの数台の試作機がソビエト連邦の崩壊に伴い、市場に出回った。そこで、数少ない資料を基に検証することにした。

まずボディだが、従来どおりのスクリューマウントを採用した「レンジファインダー機」というスタイルを守った。資料から推察するに、前世代機で1990年に生産が終了したFED-5シリーズのスタイルを継承し、さらに進化したライカM5やCLに似た機構を有するカメラを目指したと思われる。-6に新たに搭載された機構としてはTTLcds測光、クランク式の巻き戻し機構、グリップ部ゴム、シャッター速度ダイヤル、アイレットの付属が挙げられる。しかし、FED-5シリーズと同様、頑ななまでに布幕シャッターを採用し、裏蓋は着脱式を採用した。
シャッターの最高速は1/500であり、サイズ的にはFED-5シリーズと同程度であったと推測される。 画像の個体より前に試作されたプロトタイプでは、前面の「FED6」の文字がアルミニウム製プレートのものや、裏蓋がFED-5のものを流用したものが見られた。

 標準レンズはFED5シリーズにも付属されたIndustar61L/Dの改良版Industar61L/D(55mmf2.8)が付属される予定であった。従来のIndustar61と内部構造の変更は無いが、改良版Industar61L/Dはゴム製のローレットがまかれ、近代的な外装デザインに変更されている。

なお、ボディーや裏蓋にシリアルナンバーはなく、現存しているFED-6TTLプロトタイプはレンズのシリアルナンバーで区別されている。

 FED-6TTL(試作機)概要

  名称:FED-6TTL
  試作機製造年:1992
  製造工場:FED
  シャッター:B,1,2〜1/500
  シンクロ接点:ホットシュー
  巻上げ/巻き戻し:レバー/クランク式 
  セルフタイマー:付属
  露出計:TTL(中央重点測光式)
  対応感度〜ASA800
  視度補正:付属
  レンズ:Industar61L/D(55mmf2.8)


 FantasticCameraGalleryの制作者 中村陸雄氏が、製造を断念した理由についてFEDの担当者に問い合わせたところ、担当者は「マーケットに需要がないから」と返答したという。前世代機、FED-5生産開始の77年、我が国ではNikonF3の本格的な設計に入っていた。つまり世界的に電子制御式一眼レフカメラが開発されていた当時に、FEDでは1/500secの布幕シャッターを有するレンジファインダーカメラを生産していた。同機構をもつ-6を世に送り出しても、売れる見込みが無いのは明らかである。また、生産・発売されなかった背景には、ソビエト連邦崩壊の影響も少なからずあったものと推測できる。

 現在このFED-6TTL試作機は、ごく一部のコレクターやアンティークショップの手にあり、世に出回っている数は5台以下と推測される。ソビエトの崩壊に翻弄され、幻に消えたFEDシリーズ最終機である。


※FED-6TTLは個体数が少ない為、資料提供を受け作成しました。
Special thanks to : FED/antiquarius-Italy/infoPlease.com/russianplaza.com/FantasticCameraGallery